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25歳の僕と80歳のジイ


僕のジイは今年で80になる。
 
僕のジイはいつも笑顔で、いつもご機嫌だ。
 
僕のジイはアメリカ人と日本人のハーフだ。
 
僕のジイは今、日本に住んでいる。
 
 
「ジイは若い時、どんなことを考えて、何をしていたの?」
 
 
僕は、ジイに聞いた。
 
 
今年で25になる僕は、ジイが大好きだった。
 
 
ジイはキューバ製の葉巻を吹かしながら
 
 
左手の薬指にはめた
 
 
でかい指輪を大切そうに触っていた。
 
 
そして得意のとろけるような笑顔で、
 
 
ジイは僕に言った。
 
 
「25歳の頃といえば、世界に友達をたくさん作っている頃だったな。」
 
 
ジイは戦後、様々な国を渡り歩いていた。
 
 
北極から南極まで
 
 
地球の東から西まで
 
 
隅から隅まで地球を舐め回しては
 
 
渡り歩く国々で、友達を作っていた。
 
 
そしてジイは
 
 
そこで誰もを笑顔にするお店を
 
 
たくさん開いた。
 
 
「ある日はラーメンを作ったり、ある日はおでんをこしらえたりしてさ。グルジアでもサンフランシスコでもサンマリノでもイビサでも、どこでも自然と友達ができたもんさ。」
 
 
ジイはとろけるような笑顔で、僕に昔の思い出を話してくれた。
 
 
インドで川に飛び込んで感染症になって死にかけた話。
 
 
ブラジルでギャングに追われて、最後は背負い投げをした話。
 
 
ローマで恋をして、ばあちゃんとローマの休日ごっこをした話。
 
 
ジイの話は、どこまでも自由で、どこまでも輝いていた。
 
 
そんなジイは、僕の誇りであり憧れだった。
 
 
「ジイはどうして、世界に行きたかったの?」
 
 
僕は、ジイの気持ちを知りたかった。
 
 
僕は今年で25になる。
 
 
僕は何かを見つけたかったのかもしれない。
 
 
僕はジイと話すことで。ジイに触れることで。
 
 
藁にもすがる思いってのは
 
 
このことなのかもしれない。
 
 
ジイはゆっくりと葉巻を吹かした後に
 
 
静かに語り始めた。
 
 
「どうしてだって?タカヒロ。生きるのに理由なんていらないのさ。そんなもんに理由なんてない。人生に理由なんていらないんだ。」
 
 
僕はジイを見つめ、ジイも同じく、僕を見つめていた。
 
 
「今の時代は、みんなただ、迷いたがっているだけさ。理由を探して、自分の中に迷い込んでいるだけさ。でもその解決策は簡単だ。理由なんていらないってことに、気がつけばいいだけさ」
 
 
僕はどこか、晴れやかな気持ちになった。
 
 
それは何か、視界がパッと、開けるような感覚だった。
 
 
「タカヒロの心臓が動くのに、理由は必要かい?」
 
 
「タカヒロが旨い空気を吸い込むのに、理由は必要かい?」
 
 
「そんなものに理由なんていらないだろう?生きるとは、そういうことさ」
 
 
「ジイはスナフキンみたいだな」
 
 
僕はジイに言うと、ジイは嬉しそうにまた、葉巻を吹かせて笑った。
 
 
僕は今年25歳になる。
 
 
そろそろ自分の生き方を決めたがっていた。
 
 
周りを見ると焦っている自分がいた。
 
 
でも、そんなものすらもいらないのかもしれないと
 
 
ジイの話を聞いて思ったりした。
 
 
僕は何に悩んでいたのか。何に迷っていたのか。
 
 
いつの間にか、わからなくなっていた。
 
 
「お前はお前の世界を作ればいい。誰かのサイズに合わせなくたっていいんだ」
 
 
思えば僕は、誰かのサイズの中で、何かを探していたのかもしれなかった。
 
 
「焦る必要はないんだ。お前の中に、既にお前はある。そして、それに理由はない。説明できるようなもんなんて、全てが偽物さ」
 
 
ジイはおもむろに
 
 
amazonから届いた大きな荷物を開封した。
 
 
中にはクラシックギターが入っていた。
 
 
「タカヒロ。オレにギターを教えてくれよ」
 
 
「ギターするの?」
 
 
「そうなんだ。練習して弾けるようになったら、世界ツアーに回るんだ」
 
 
ジイはそういって、まだ新しいクラシックギターをボロンと鳴らしながら
 
 
嬉しそうに僕に微笑んでみせた。
 
 
「なんでギターやるの?なんて、聞くなよタカヒロ。理由なんてない。やりたいからやるんだ」
 
 
僕はジイにCのコードを教えた。
 
 
ジイはCのコードを永遠と、ずっとずっと弾き続けていた。
 
 

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