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不登校だった中学生が突然学校に行き始めたたった一つの理由【後編】


 
カズオおじちゃんとの会話以降、
 
シンイチロウの脳みそは、
 
なんだかグルグル回ることを止めない。
 
色んな思いや気持ちが巡り、
 
とにかくあれ以降、
 
確実に何かが変わるような気がした。
 
 
 
オレのゴールか・・・なんだろう・・・オレのゴール・・・
 
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シンイチロウは居ても立ってもいられないような感覚だった。
 
だけど、何をどうしていいのか・・・。
 
訳も分からぬまま、だけどとにかく何かがしたくて
 
たまらないような気持ちになっていた。
 
「でかすぎるゴール」についてのことが
 
ずっとずっと、頭の中をグルグルと巡っていた。
 
 
 
とにかく色んな情報が
 
シンイチロウに飛び込んでくるようになった。
 
テレビを見ても雑誌を見ても
 
「この人のゴールは何だろう?」というような具合だった。
 
今までとは全く違った感想や感覚を
 
シンイチロウに与えていた。
 
 
 
 
シンイチロウは、おもむろに棚にある「ONE PEACE」に
 
手を伸ばした。
 
そうだ!もう一度1巻から読み返してみよう!
 
 
シンイチロウはもの凄い勢いで
 
ONE PEACEを読破し始めた。
 
「でかすぎるゴール」という視点を持って
 
ONE PEACEを読み進めていくと
 
今までとは全く違ったものが見えてくる感覚があった。
 
凄い!こんなピンチなのに、ゴールを諦めない。むしろゴールへの思いが一段と高まっている・・・
 
ゴールの大きいもの同士が、その思いを共有してる。だからこんなに強いチームワークになるんだ!
 
これまで何度となく読み返してきたはずのONE PEACEから
 
シンイチロウは全く新しい学びを次々と吸収していった。
 
 
 
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シンイチロウは、ゴールを考える上で
 
カズオからいくつかのヒントを教えてもらっていた。
 
①自分が心からwant to(したい!)であること
 
②考えただけでワクワクしてくるような、そんなゴール
 
③すぐに見つからなくても大丈夫、焦らずどんどんゴールを立てて、違ったらどんどん変えていい!
 
 
シンイチロウはもう、
 
とにかくなにか行動をしたい!という
 
衝動にかられていた。
 
 
自分が心から・・・ワクワクする何か・・・
 
 
シンイチロウは今までの自分の人生を振り返りながら
 
どんな時にワクワクしただろう?
 
心が躍るような気持ちになっただろう?と自問自答を繰り返した。
 
 
キラ・・・キラ・・・キラ・・・
 
 
眩しい光のイメージが
 
シンイチロウの脳に浮かんできたような気がした。
 
 
チャン・・・チャン・・・チャン・・・
 
 
金属と金属がぶつかり合う音、
 
 
ジュー・・・ジュー・・・ジュー・・・
 
 
美味しそうな香りと、食材の焼ける音
 
シンイチロウは昔母親と一緒にいった
 
ある一見の中華料理屋のことを思い出していた。
 
 
そこで食べた、たった一杯の中華丼・・・
 
美味い!美味い!と大声で叫びながら
 
母親の隣りで嬉しい気持ちで食べていた時のことを思い出した。
 
楽しかった記憶。
 
はしゃぎながら食事をして、隣りの母さんは
 
ただ笑いながら、一緒に居てくれたことを思い出した。
 
 
 
シンイチロウ「母さん。あの中華料理屋覚えてる?」
 
 
 
シンイチロウの方から、
 
母親に声を掛けたのは久しぶりのことだった。
 
母カヨコは、びっくりとした気持ちを抑えながら、
 
平静を保ってシンイチロウに応えた。
 
 
母カヨコ「中華料理屋って、あの2丁目の酒井さんの所の?」
 
 
シンイチロウは頷いた。
 
 
母カヨコ「それがどうかしたの?」
 
 
カヨコはシンイチロウに尋ねた。
 
シンイチロウ「あの時食べた、中華丼覚えてる?」
 
 
母カヨコ「ああ。覚えてるわよ。シンちゃん凄く美味しいって、喜んで食べてたわよね」
 
 
シンイチロウ「もう一度、行きたいんだけど、お小遣いもらえないかな?」
 
 
カヨコはそのとき、弟カズオの言葉を思い出していた。
 
“シンイチロウがやりたいことは、何でもやらせてやって欲しいんだ”
 
 
母カヨコ「お腹いっぱい食べてきなさい」
 
 
カヨコはシンイチロウに、1,000円札を手渡した。
 
その中華料理屋は、
 
昔から安くてお腹いっぱい食べられることで有名な
 
近所では評判の中華料理屋。
 
1,000円もあれば、きっとお腹いっぱいランチが食べられるだろう。
 
 
 
シンイチロウ「ありがとう。ちょっと、行ってくる」
 
 
 
カヨコは、猛烈に涙がこみ上げてきた。
 
しかしその涙をぐっとこらえ、シンイチロウを送り出した。
 
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「いらっしゃい!」
 
14時少し前。
 
昼時の客が一段落し、中華「酒井」の店内は
 
シンイチロウを合わせて2人の客が
 
カウンターに腰掛けていた。
 
 
酒井店長「あんちゃん。角曲がったところのシンイチロウくんかい?大きくなったなあ〜。注文、何にしようか?」
 
 
シンイチロウは小さく頭を下げると、
 
少し間をおいて注文を言った。
 
 
シンイチロウ「中華丼、1つお願いします」
 
酒井店長「はいよ。中華丼一丁!」
 
 
 
店長はしっとりとした声でオーダーを確認すると、
 
早速キッチンに向かい、調理を始めた。
 
—–トントントントントン—–
 
——サッサッ——
 
——-ジュー——-
 
手際良く調理を進める酒井に、シンイチロウは釘付けになっていた。
 
———–カンカンカンカン———–
 
————ジュワージュージュー————
 
中華鍋とお玉とコンロが互いにぶつかり合う音が
 
あの「小さい頃」の思い出を強烈に思い出させた。
 
————コンコン コンコン————
 
中華鍋から大きな白い煙が上がり、
 
店内には中華丼の香ばしい香りが一気に広がった。
 
 
 
 
「へいお待ちっ」
 
シンイチロウの前に、熱々できたての中華丼が置かれた。
 
あの頃と全く変わらない
 
白と青の陶器の器に
 
ご飯は山のように盛られ、
 
その上に、あんにからまった具材。
 
「頂きます」
 
シンイチロウはボソっとつぶやくように
 
中華丼を食べ始めた。
 
ふわっふわの中華丼を
 
レンゲで思う存分すくい、
 
一気に口に運んだ。
 
熱さで口の中が大変だったが、
 
味もあの頃と全く変わらない。
 
あの「感動した味」そのままだった。
 
 
 
一口、二口、三口・・・
 
ただ黙って、シンイチロウは中華丼を頬張った。
 
四口、五口・・・
 
酒井店長「どうだい?美味いかい?」
 
店長の酒井は、優しいまなざしで
 
シンイチロウに尋ねた。
 
シンイチロウ「はい。美味しいです」
 
中華丼を見つめながら、シンイチロウは小さく応えた。
 
酒井店長「そうかそうか。あれは何年前かな。シンイチロウくんがまだ小学生の頃、美味い美味いって、食ってくれたのを昨日のことのように覚えてるよ」
 
酒井店長「一口食うたびに、あんなに喜んでもらったのは、オレも生まれて初めてだったよ。だから今でも鮮明に、覚えてるんだ」
 
シンイチロウは、中華丼を下を向いたまま頬張り続けた。
 
 
 
酒井店長「あの頃と比べて、味はどうだい?」
 
 
 
酒井はシンイチロウに優しく声を掛けた。
 
 
 
シンイチロウ「あの頃と、全然変わらない。凄く、美味しい」
 
 
 
シンイチロウの目から
 
大粒の涙が
 
いくつもいくつも止めどなく流れ続けた。
 
 
 
 
中華丼を頬張りながら、大粒の涙を流すシンイチロウを見て
 
酒井は優しく声をささやいた。
 
 
 
酒井店長「ごゆっくり、シンイチロウくん」
 
 
 
シンイチロウは嗚咽をこらえながら
 
中華丼を食べ続けていた。
 
 
 
 
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中華丼を食べ終えて、シンイチロウは下を向いたまま
 
水を飲みながら、あの頃と変わらぬ味の余韻を味わっていた。
 
酒井はそんなシンイチロウをチラっと見ると、
 
そっと微笑んで夜の仕込みを続けていた。
 
 
 
シンイチロウ「それって、中華鍋ですか?」
 
 
 
おもむろにシンイチロウは、酒井へ向けて声を掛けた。
 
酒井店長「これかい?おお、もう15年になるか。おっさんがずっと使ってる中華鍋さ」
 
シンイチロウの輝くまなざしの向こうに
 
使い古されながらも、深い鉛色に光る中華鍋があった。
 
 
 
店長 酒井「ちょっと、触ってみるか?」
 
 
酒井はシンイチロウを厨房へ誘った。
 
シンイチロウはうなずくと、恐る恐る厨房へと入った。
 
 
 
店長 酒井「厨房は、初めてか?」
 
シンイチロウ「はい。初めてです」
 
 
 
 
厨房に広がる独特の緊張感と
 
使い込まれた数々の調理器具に囲まれ
 
シンイチロウの心もまた、
 
きれいに磨き上げられた中華鍋のように
 
凛として輝いていた。
 
 
 
酒井店長「これをほら、こう振ってみたらいい」
 
 
 
 
酒井は手慣れた手つきで中華鍋を振ってみせた。
 
美しく弧を描き、寸分の狂いなく
 
中華鍋は前後に揺られながら
 
絶妙に角度を変えているのが分かった。
 
 
 
酒井店長「こうやって角度を変えながら、水分を飛ばしたり、空気を含ませたりして、色んな工夫を加えるんだ。この工夫や心意気が、より美味い料理を作る。まあおじさんも未だに、”正解”はわからんがな」
 
 
 
シンイチロウの心は
 
その美しい動きと酒井の言葉に魅了されていた。
 
ただ料理を作るだけじゃない。
 
その工夫や技、料理への情熱が、
 
あの美味い中華丼を作っているんだという
 
感動があった。
 
シンイチロウは、なかなか美味く鍋を振ることができなかった。
 
重さと大きさで、バランスが取れない。
 
こんなすごいものを、酒井のおじさんは振っているのか。
 
でも、これが振れるようになれば、
 
おじさんのような、美味い料理がたくさん作れるようになる。
 
シンイチロウの心は躍り、
 
鍋の重さは、自分の遠いゴールへの道に見えた。
 
 
 
店長 酒井「楽しいか?」
 
 
 
シンイチロウは頷いて、下手なりに鍋を振り続けた。
 
 
 
シンイチロウ「僕も、おじさんみたいに上手い料理が作れますかね?」
 
 
 
シンイチロウは真っ直ぐな目で、酒井に尋ねた。
 
 
 
店長 酒井「当たり前だ。オレなんてすぐに追い抜かれちまうだろうな」
 
 
 
シンイチロウは屈託のない、無邪気な笑顔を見せた。
 
 
 
シンイチロウ「ありがとうございました。また食べにきます」
 
 
 
 
シンイチロウの目の前の世界は、一気に変わって見えた。
 
自然と背筋が伸びている自分を感じた。
 
空は晴れて、濃い青。
 
雲は一足早い夏のような入道雲だった。
 
シンイチロウは背伸びして、
 
思い切り息を吸い込んだ。
 
別にここは、大自然ではないけれど
 
空気が美味いと思った。
 
 
 
シンイチロウは家までの階段を
 
ダッシュで一気に駆け上がった。
 
—-ガシャン—-
 
玄関を一気に開けて、
 
リビングまでそのままの勢いで駆けていった。
 
 
シンイチロウ「母さん。中華鍋、買ってよ」
 
 
母カヨコは驚いた表情で洗濯物の手を止めた。
 
 
 
母カヨコ「う、うん。中華鍋・・・明日買いに行こっか」
 
シンイチロウ「明日はダメだ。学校行くから」
 
母カヨコ「えっ?」
 
シンイチロウ「世界一の料理人になるのに、まあ学校ぐらいは出ておこうと思ってさ」
 
 
 
そういうとシンイチロウは自分の部屋へと再び駆け上がった。
 
 
不登校だったシンイチロウは、
 
もしかすると、学校では教えてくれない何かを
 
学んだのかもしれない。
 
でもそれこそ、人生にとって本当に大切なことだ。
 
 
 
 
シンイチロウの次のゴールはまず
 
「母ちゃんに美味いチャーハンを食わせてやる」
 
だそうだ。
 
※この物語はフィクションですが、現実に起こった内容を基に、コーチングをより分かりやすくお伝えするため、小出コーチによる創作が含まれています。
 
 

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